印紙税
印紙税とは日常の経済取引に伴って作成する契約書や領収証などに課税される税金です。業態によっては全く使用せず馴染みがない方もいるかもしれませんが、建設業や不動産売買業では多くの文書を作成するため印紙税を納税する機会が頻繁にあります。
普段使わない方でも、高額の領収証をきる場合には収入印紙の貼付が必要となることもありますので、経済活動を行う際には注意が必要です。
納税の仕組み
印紙税は確定申告などがあるわけではありません。郵便料金を切手で支払うのと同じように、課税文書を作成する際に事前に購入した収入印紙を貼付、それに消印を押すことで納税が完了したことになります。
貼り忘れや金額の不足があったことが税務署の調査で判明した場合、過怠税と合わせて改めて納税することになります。
逆に不要な文書に収入印紙を貼付したり過大な金額を貼付してしまった場合は、その文書の作成から5年以内であれば還付の申告をして返金を受ける事が出来ます。
課税される文書
課税される文書は20に分けて定められており、文書の種類によって課税額が変わってきます。また、課税文書であっても個別に非課税枠が定められているもの、時限的に税額を軽減されているものがあります。
詳しくは国税庁のHPに公開されているものでご確認ください。
印紙税額の一覧表(第1号文書から第20号文書まで)(PDF/329KB)(令和4年4月現在)
電子取引の場合は納税不要
課税文書の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。
※印紙税法第三条(納税義務者)より抜粋
電子データのやり取りで完了した場合には「作成した」と見做されず、課税対象とはなりません。屁理屈のような感じも受けますが、実際に国税庁から納税不要との見解が出ています。
メール等でのやり取りの他、FAXの送信でも納税不要です。但し、電子データをプリントアウトして紙で効力を発揮させようとすると納税義務が発生しますのでご注意ください。
収入印紙の用途
印紙税を納める場合は収入印紙を貼付することになりますが、収入印紙の用途は印紙税の納付に限られたものではありません。主に国の機関での手数料を支払う際に収入印紙を貼付することで支払の証明として使用されます。よく似た言葉で収入証紙というものもありますが、こちらは地方公共団体などの手数料を支払う際に使用されるものです。
会計上の処理
郵便料金の支払における切手と同様のイメージとなります。期末の未使用額が高額でなければ「貯蔵品」として資産計上せずに全額「租税公課」として経費処理しても問題はありません。
購入時に租税公課として経費処理する場合
① 収入印紙を購入した時
租税公課 〇〇〇円 / 現金預金など 〇〇〇円(購入金額)
② 収入印紙を課税文書に貼付した時
(仕訳不要)
③ 決算時
貯蔵品 □□□円 / 租税公課 □□□円(決算時点の未使用額)
購入時に貯蔵品として資産計上する場合
① 収入印紙を購入した時
貯蔵品 〇〇〇円 / 現金預金など 〇〇〇円(購入金額)
② 収入印紙を課税文書に貼付した時
租税公課 △△△円 / 貯蔵品 △△△円(貼付した印紙税額)
③ 決算時
(仕訳不要) ※貯蔵品残高と実際の未使用品残高が違う場合には精算仕訳が必要
金券ショップで購入した場合
本来収入印紙を購入した時の消費税は非課税として取り扱われます。しかし、「郵便切手類販売所」または「印紙売りさばき所」以外での購入時には消費税が課税されます。購入時のレシート等で消費税がかかっているか確認する必要がありますので注意しましょう。