開業時にありがちな落とし穴

開業は夢の第一歩ですが、税務や経営の知識が不十分なままスタートすると、思わぬ落とし穴にハマってしまうこともあります。ここでは、開業時にありがちな税務・経営の落とし穴をわかりやすく整理してみました。
1. 設立・開業届を出し忘れる/遅れる
- ・法人は「法人設立届出書」を設立の日以後2か月以内に税務署に提出する必要があります。
- ・個人事業主は「個人事業の開業届出書」を開業の日から1か月以内に税務署に提出する必要があります。
※ 各届出書と合わせて「青色申告承認申請書」も忘れずに提出しましょう。
提出しないと、個人の場合最大65万円の控除が受けられないことも。
2. 経費の領収書・レシートを保管していない
- ・経費として認められるには、証拠書類の保存が必須。
- ・レシートを捨ててしまうと、後から経費にできない可能性も。
※ 領収書は日付・用途をメモして保管。クラウド会計ソフトで管理もOK。
3. 事業用とプライベートの支出が混在している
- ・銀行口座やクレジットカードを共用すると、経費の仕分けが煩雑に。
- ・税務調査で「事業に関係ない支出」と判断されるリスクも。
※ 事業専用の口座・カードを用意して、支出を明確に分ける!
4. 税金の支払いを忘れてしまう/資金繰りが苦しくなる
- ・開業初年度は利益が出ても、税金の支払い時期に資金が足りない…というケースが多い。
- ・特に消費税や所得税の納付は後からやってくる。
- ・税金分を別口座に積み立てておく。資金繰り表の作成もおすすめ。
5. 帳簿をつけていない/つけ方が不適切
- ・青色申告には帳簿の作成が必須。記帳が不十分だと控除が受けられない。
- ・Excelだけで管理していると、税務署から指摘されることも。
※ クラウド会計ソフトの導入で記帳の手間を軽減!
6. 事業計画が曖昧で、収支が不安定
- ・売上見込みや経費の予測が甘いと、すぐに資金ショートする可能性も。
- ・「なんとなく始めた」では長続きしません。
※ 事業計画書を作成し、収支の見通しを立てる。必要なら融資や補助金・助成金の申請も検討。
7. インボイス制度の登録判断
- ・免税事業者でも、取引先によっては消費税分の値下げを要求されるなど負担が増加する可能性がある。
- ・インボイス登録をしていないと取引を拒否されることもある。
※ あらかじめ、取引先(売上先)がインボイス登録を求めているか検討しておきましょう。
まとめ
まず最初に必要なのが、設立・開業届の提出と青色申告承認申請書の提出です。
青色申告を選択することで、個人の場合最大65万円の控除が受けられるほか、赤字の繰越や家族への給与支払いの経費化など、税務上のメリットが多くあります。
また、帳簿の整備と記帳の習慣化も欠かせません。開業直後は売上や経費の管理が曖昧になりがちですが、日々の取引を正確に記録することが、後々の申告や資金管理に大きく影響します。最近ではクラウド会計ソフトなども充実しており、効率的な記帳が可能です。
さらに、事業用とプライベートの資金を分けることも重要です。銀行口座やクレジットカードを事業専用に分けることで、経費の把握がしやすくなり、税務調査の際にも説明がスムーズになります。
そして忘れてはならないのが、消費税の扱いです。開業1期目・2期目は原則として免税事業者ですが、3期目以降は売上高によって課税事業者になる可能性があります。インボイス制度の導入により、取引先との関係性によっては、開業時からインボイス登録を行い、申告・納税の義務を負うケースもあります。
最後に、資金繰りと補助金・助成金の活用です。開業時は資金が不安定になりがちですが、自治体や国の制度を活用することで、初期費用の負担を軽減できます。事業計画書の作成や申請手続きには専門的な知識が必要なため、税理士に相談する事も選択肢に入れておきましょう。


