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決算期変更ついて

法人を設立する際、決算期を定款で定めますが、後で決算期を自由に変更することも可能です。今回は「決算期の変更」について説明していきます。

決算とは

決算とは、企業の一定期間における収益と費用をまとめて書類にすることです。まとめた書類を決算書と呼び、作成した書類は税務署に提出する必要があります。企業などでは、法律によって決算を行うことが義務付けられています。事業規模にかかわらず1年に1度は行わなくてはいけません。決算は、経営者自身が財務状態や経営成績を把握し経営判断を行いやすくするためだけでなく、株主、取引先や金融機関などに経営状態を報告するために必要となります。また、納税額を確定させるためにも決算を行う意味もあります。この定められた期間を決算期といいます。

決算期の変更のポイント

決算期の決め方は自由ですが、「設立日からちょうど1年で区切りが良いから」などという理由で決めた方もいるかもしれません。しかし、設定した決算月によって大きく損をしてしまうこともあります。損をしないためにも、決算期の変更をするポイントを紹介します。

①新設時なら期間をできるだけ長くする

新設法人の場合、売上見込み等がわからない場合もあると思います。その場合は、設立日からできるだけ一番長い期間で決算期を区切ると良いでしょう。決算では、会計の締め、決算書作成、納税等の事務作業だけでなく、顧問税理士がいる場合、申告決算料等コストも増えます。決算期を先にすることで、手間やコストを少なくするができます。また、新設法人なら設立日から遠い決算期にすることで、消費税の免税期間を長くすることができます。細かい条件はありますが、基本的には新設法人は2期まで消費税が免除されますので、会社が免税事業者であるなら、できるだけ免税期間が長くなるようにすることも念頭に入れておくべきです。

②売上見込みが一番高い月に設定する

決算月に一番売上が出ると、売掛金等まだ入金がないのに、利益を計上しなくてはいけません。また、節税の視点で見ても決算直前で利益が出ると設備投資などの節税対策が取りづらく対策が行えません。そうならないために、売上見込みが一番高い月を期首にすることがポイントです。また、決算月から2か月後に法人税などの納税期日となるため、一番キャッシュが入ってくる月に決算期を設定することで資金繰りに困らずに済むことになるでしょう。

③ゆとりのある時期に設定する

繁忙期を避けることもポイントです。決算月と繁忙期が重なると、通常業務に加えて棚卸や決算書、申告書等の作成業務が必要なため負担が大きくなり、会社全体の余裕がなくなってしまいます。その結果、通常業務で思わぬミスが起きたり疎かになることにつながりかねません。このようなリスクも決算期を変更することで解消することができるでしょう。

決算期変更の注意点

決算期の変更によりデメリットも生じることがあります。新設法人でない場合、決算期を変更すると、通常よりも短い期間になるため、決算業務を前倒しで行う必要があります。また、決算期が短くなると前年の財務資料とは異なる期間のデータとなるため比較検証がしづらくなると考えられます。さらに、減価償却の限度額などが月割り計算となり税金の予測も変更を余儀なくされることなります。

変更手続きについて

決算期の変更には、原則として「定款の決算期に係る条文の変更」と「株主総会の開催」が必要です。変更する順序を説明していきます。

①定款の変更と株主総会の決議

一般的に決算期は定款に記載されていることが多いですが、任意記載事項ですので、記載がなくても構いません。しかし、実務上、定款は提出書類として使われることがあるため通常は記載されていることが多いと思います。定款の決算期に係る条文をすぐには変更することはできず、臨時株主総会を開催し特別決議を行う必要があります。特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を必要とする決議のことです。議事録には、決算期の変更を行うにあたり定款の変更をすることと株主が合意したことなどを記載します。
上記は、株式会社の場合ですが、合同会社の場合、株式会社のような株主総会の開催の規定はありません。定款の変更は、原則として総社員の同意によって決まります。総社員総会を開催し議事録を作成しても良いですし、同意があった旨の同意書を作成する形でも構いません。

②必要な手続き

決算期の変更は、法務局への登記申請は必要ありません。しかし、所轄税務署・県税事務所・市役所に「異動届出書」と「株主総会議事録(合同会社は「同意書」等)」のコピーの提出が必要です。また、営業許可証や建設業許可証など許認可が必要な事業を行っている場合は各機関に届出をする必要があります。

まとめ

決算期の変更は、簡単に変更できることがお分かりいただけたと思います。決算期を変更することで、より効果的に事業を運営することができるようになると思います。しかし、決算期の変更にはメリットだけでなくデメリットもあります。変更する際には目的を明確に持ち、慎重に検討した上で必要な流れと手続きを踏みましょう。