今回は、経常利益について解説していきたいと思います。経常利益は、通常の事業活動で得た利益に営業外収益や営業外費用などを反映したものです。事業を行う上で利益が出ているかどうか経営状況を把握するための重要な指標となります。利益には、経常利益の他に純利益、営業利益、売上総利益などがあります。すべて利益と付きどの利益が何を表すのかわからないという方も多いでしょう。他の利益を解説しつつ、経常利益の活用方法の解説を行います。

●経常利益とは？

企業や個人事業主が経常的に得た利益のことです。「経常」とは、繰り返し、コンスタントにといった意味になります。経常利益は繰り返し行われるような事業活動での利益を表します。経常利益の中には、本業で得た利益と本業以外の財務活動で得た利益または損失を含みます。経常利益の求め方は以下のようになります。

経常利益＝営業利益＋営業外収益－営業外費用

営業利益とは、本業によって稼いだ利益のことです。売上高から売上原価や販売管理費を差し引いて求めます。

営業外収益とは、企業が本業以外の行動によって生まれた収益のことです。具体的には受取利息や受取配当金などが該当します。個人事業主の場合は、受取利息や配当金などの営業外収益は事業収入と分けて考えるため、損益計算書には記載しません。配当所得や利子所得として所得税の確定申告時に申告します。

営業外費用とは、支払利息のように本業の営業活動以外で発生した費用のことです。

●各利益について

試算表・決算書に出てくる順に挙げていきます。

売上総利益＝売上高－売上原価
売上に直接かかった費用を引いたものを売上原価といいます。小売業だと販売する商品の仕入れにあたります。建設業だとセメント代や直接工事に携わった従業員の人件費もここに含まれます。売上総額から売上原価を引くことで売上総利益が出てきます。所謂、粗利と呼ばれるものになります。営業の方などは、特に粗利を意識しておられるため実際の企業の利益と営業の方の利益の実感に差が出てくる原因になることも考えられるところです。

営業利益＝売上総利益－販売管理費
営業利益は、売上総利益から販売管理費を引いたものになります。販売管理費の中には、役員報酬や事務所家賃、広告宣伝費、交際費など直接売上には関係しないけれど事業を行う上で必要な経費がここに入ってきます。消費税の課税事業者の場合は消費税も販売管理費に計上されます。

経常利益＝営業利益＋営業外収益－営業外費用
上記の記載のとおりです。

税引前当期純利益＝経常利益＋特別利益－特別損失
税引前当期純利益はその名のとおり税引前の利益の額になります。経常利益から一過性の利益または損失を加算減算したものが税引前当期純利益になります。一過性の利益とは本業と関係なく発生した固定資産の売却益などです。一過性の損失は火災などの災害や横領などの人災による損失です。本業とは関係のない利益と損失が含まれます。

当期純利益＝税引前当期純利益－法人税等
税引前当期純利益から法人税等を引くことで最終的に黒字であれば当期純利益、赤字であれば当期純損失として記載されます。

●経常利益の決算書・試算表上での活用

税理士への委託や自社の経理部で毎月、試算表を作成している企業もあれば、年に１回決算時にすべての帳簿を渡し申告している企業でも、決算書は必ず作成していると思います。経常利益は過去の試算表・決算書と比較することで自社の業績の変化がわかる指標になります。

また、営業利益と比較することで本業と本業以外の売り上げのバランスを知ることができます。営業利益と経常利益にそれほど差額が発生していない場合は、主たる事業がうまくいっているといえます。差額が大きい場合には、主たる事業で稼げていない部分をほかの収益でカバーしているか本業の利益を圧迫する営業外費用があると考えられます。

最後に純利益と比較して、純利益が赤字の場合でも経常利益で黒字であれば一時的な損害で赤字が出たことがわかります。逆に純利益が黒字で経常利益が赤字であれば一時的な利益で黒字になっているだけで本業の収益を挙げられていないことになります。

●まとめ

以上のように経常利益を見ることで経営状況を把握することができます。毎月、正確な数字を知っておきたいところです。経常利益は、年単位や月単位で比較し多角的な分析が必要です。ぜひ、経常利益の分析を経営に役立てていただければ幸いです。